欠損歯が4本でも、5本分の点数が算定できる場合があります。
有床義歯(M018)の点数は、人工歯数によって4つの区分に分けられています。令和6年(2024年)6月の改定では全区分が増点され、歯科技工士を含む医療従事者の賃上げが反映されました。
| 区分 | 令和6年改定後 | 令和6年改定前からの増点 |
|---|---|---|
| 局部義歯 1〜4歯 | 624点 | +30点 |
| 局部義歯 5〜8歯 | 767点 | +35点 |
| 局部義歯 9〜11歯 | 1,042点 | +70点 |
| 局部義歯 12〜14歯 | 1,502点 | +100点 |
| 総義歯(1顎) | 2,420点 | +236点 |
さらに令和8年(2026年)改定では総義歯が2,500点へと引き上げられ、歯科用金属芯を埋入した場合の有床義歯補強加算150点が新設されました。 改定前後を比較すると、総義歯1顎の製作だけで令和6年改定前より最大386点以上多く算定できる計算になります。これは使えそうです。
関連)https://www.tokyo-sk.com/wp/wp-content/uploads/2026/03/1a0177212f9a617120322cdb2af8a3a0.pdf
なお、義歯点数は材料料・装着料を含みますが、人工歯料は別算定になる点を押さえてください。
関連)https://www.ishiyaku.co.jp/shikashinryo/information/20240730_02.pdf
「欠損歯数で算定するもの」という思い込みが、最も多い算定ミスの原因です。正しくは欠損歯数ではなく、実際に排列した人工歯の数が算定基準になります。
関連)https://www.wic-net.com/material/document/13627/152
たとえば次のケースで考えてみましょう。
欠損4歯のまま算定すると624点になりますが、実態に合わせれば767点です。差額は143点、つまり約1,430円の算定漏れになります。これが原則です。
関連)https://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/250715-070000.php
一方でレセプト記載にも注意が必要です。欠損歯数と補綴歯数が異なる場合は、摘要欄に「4歯欠損5歯配列」などと不一致の理由を明記する必要があります。 記載なしのまま提出すると審査で返戻される可能性があります。
関連)https://www.hhk.jp/member/hoken-seikyu-qa/shika/250715-070000.php
また、局部義歯「12〜14歯」の区分には重要な条件があります。残存歯が1本でも存在する局部義歯に限られる区分であり、たとえ1床14歯であっても残存歯がある場合のみ算定できます。 全歯欠損状態で義歯を製作した場合は、総義歯として算定するのが正しい扱いです。
関連)https://www.wic-net.com/material/document/13627/152
有床義歯の修理(M029)は人工歯数に関係なく一律の点数で算定します。 この点が新製時と大きく異なるため、混同しやすいポイントです。
最も見落としやすいのが「6か月以内の修理は所定点数の50/100」というルールです。 令和6年改定前は基本技術料260点でしたが、令和8年改定では460点に引き上げられました。 この場合、6か月以内の修理は230点での算定になります。
関連)https://www.quint-j.co.jp/insurances/19
現場でこのルールを見落としやすいシチュエーションは以下の通りです。
関連)https://3tei.jp/news/xGkkOgqz
厳しいですね。増歯の場合、新製後6か月以内であれば260点の50/100で130点になります。 このルールを知らないで260点を算定していると、指導・監査で減点対象になります。
関連)https://3tei.jp/news/xGkkOgqz
M029 有床義歯修理の最新算定要件(しろぼんねっと・令和8年版)
点数本体の変化だけでなく、管理料・加算の要件変更も実務に影響します。令和6年改定では新製有床義歯管理料が見直され、「困難な場合230点」「それ以外190点」の2区分に再編されました。
関連)https://www.ishiyaku.co.jp/shikashinryo/information/20250205_01.pdf
注意が必要なのは、新製有床義歯管理料の算定制限です。
関連)https://www.quint-j.co.jp/insurances/19
つまり同一患者に上下顎それぞれ義歯を製作した場合も、装着月から1年間は2回目の管理料が算定できません。意外ですね。
関連)https://www.quint-j.co.jp/insurances/19
一方、令和8年改定で総義歯に新設された有床義歯補強加算(150点)は、歯科用金属芯(金属床のメタルフレームではなく、レジン床の強度補強のための金属芯)を埋入した場合に算定できます。 対象となるのは局部義歯の9〜11歯区分・12〜14歯区分および総義歯です。算定する際は診療録への記録と材料の記載が必須条件です。
関連)https://www.tokyo-sk.com/wp/wp-content/uploads/2026/03/1a0177212f9a617120322cdb2af8a3a0.pdf
訪問診療時に義歯修理を行う場合はさらに加算が複雑になります。著しく歯科診療が困難な患者(特1・特2算定患者)への修理は、所定点数および装着料の50/100加算が適用されます。 在宅専従歯科衛生士がいるクリニックは、これらの加算を見落としていないか、一度レセプトを棚卸しする価値があります。
関連)https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK08617/pageindices/index4.html
令和7年(2025年)12月から、3次元プリント有床義歯用材料が期中保険適用されました。 これは従来のレジン床義歯に代わる新しい製作手法であり、デジタル技工(CAD/CAM)を用いた義歯の保険算定が現実になっています。
関連)https://www.youtube.com/watch?v=Uf76xoXiRro
現時点での算定上の扱いは以下の通りです。
熱可塑性樹脂を用いた義歯についても類似の注意点があります。「独自の点数がある」と誤解しているケースがありますが、熱可塑性樹脂義歯であっても通常の有床義歯点数で算定し、使用材料を診療録に記録する運用が求められます。 材料の記録を省略していると、監査時に算定根拠が問われます。
関連)https://3tei.jp/news/KFXDmOK7
人工歯の算定単位についても2026年5月の疑義解釈で明確化されました。 陶歯・レジン歯等は1歯単位で点数化し、端数は四捨五入した後に使用歯数を乗じます。「合計金額を最後に点数化する」という従来の実務慣行とは順序が逆になるため、レセコン設定の確認が必要なケースがあります。結論はシステム側と手計算で差が出ないか確認することが条件です。
関連)https://media.shaho.co.jp/n/nfa9da4ce643e