チタンが入っていても、3テスラMRIで画像が使い物にならなくなる部位があります。

チタンは「常磁性体」に分類される金属で、鉄やニッケルなど強磁性体とは根本的に性質が異なります。 MRI装置が発生させる強力な磁場に対して、チタンはほとんど反応しません。これが安全性の大前提です。
具体的には、①磁場に吸引されない、②電気を通しにくいため発熱しにくい、③骨と結合しやすく生体適合性が高い、という3つの特性が安全性の根拠となっています。 現在、日本で使用される歯科用インプラントや骨固定プレートの多くは、純チタンまたはチタン合金(Ti-6Al-4V)で製造されています。
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つまり素材がチタンなら、MRI検査の基本条件はクリアです。
ただし「チタン製だから完全に何も問題ない」と患者に伝えるのは不正確です。 チタン合金が頭蓋内に埋め込まれている場合、強磁場によってトルク(回転力)が作用する可能性は完全には否定できないとするMRI安全の専門家の見解もあります。歯科従事者として、この微妙なニュアンスを把握しておくことが重要です。
チタンは安全ですが、画像に乱れが出ることは避けられません。これがアーチファクトです。
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アーチファクトとは、金属周辺の磁場が局所的に乱れることで、MRI画像に黒い影や歪みが放射状に広がる現象のことです。 たとえるなら、写真を撮るときにレンズに指がかかった状態に近く、金属の周囲半径数cmの範囲が診断に使えなくなる場合があります。
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問題になる部位があります。
口腔・顎顔面周囲に固定されたチタンプレートの場合、頭部MRI(脳ドック、脳腫瘍精査)で口腔付近の映像に影響が出やすいことが報告されています。 一方で、頭部から十分に離れた部位(腰椎、四肢など)にあるチタン固定具は、脳のMRIにはほとんど影響しません。これは患者説明で使える重要な情報です。
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対処策としては、撮影担当の放射線技師にプレートの位置・サイズ・素材を事前に正確に伝えることが第一歩です。 MAR(金属アーチファクト低減)シーケンスを持つ装置では、アーチファクトを大幅に軽減できます。MRI施設との連携を歯科側から積極的に行うことが、患者の不利益を防ぎます。
関連)https://kaigan-do.com/blog/20250611-2/
MRI装置の磁場強度は主に1.5テスラと3テスラの2種類が普及しています。 この違いが、チタンプレートの安全判定に直接影響します。
関連)https://www.iryoukiki.jp/sindan/2000/
1.5テスラ対応として認証を受けたチタン製品でも、3テスラ装置では使用制限が生じる場合があります。 脳動脈瘤クリップや頭蓋骨固定プレートにおいては、材質が純度100%チタンと確認できた場合のみ3テスラでの検査が許可されるケースもあります。これは見落としがちなポイントです。
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歯科インプラントの多くは1.5テスラ・3テスラ両方でMRI conditionalまたはMRI safeの認証を持っていますが、古い製品や海外製の安価な製品では認証情報が不明瞭なことがあります。
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患者が「インプラントしてるけどMRI平気ですよね?」と聞いてきたとき、「チタン製ですか?」「どのメーカーの製品ですか?」「3テスラですか1.5テスラですか?」と確認する習慣が歯科従事者に求められます。 確認できない場合は、MRI施設側に「チタン製品の認証情報の確認」を依頼するよう患者に案内する対応が適切です。
関連)https://www.mtc-nihonbashi.jp/wp-content/uploads/2024/12/MRI-Acknowledgement-and-precautions.pdf
患者への説明で最もよくある誤りが「チタンだから全然大丈夫です」という断言です。これは半分正解、半分不正確です。
正確な説明のポイントは以下の通りです。
この5点セットが基本です。
患者が「MRI検査が必要になった」と来院した際に渡す説明文書を歯科医院側で用意しておくと実用的です。 日本磁気共鳴医学会や各MRI施設が公開している「体内金属に関するMRI安全注意事項」を参考に、自院で使用している製品の認証情報をまとめたシートを作成しておく方法が現場では有効です。
関連)https://www.mtc-nihonbashi.jp/wp-content/uploads/2024/12/MRI-Acknowledgement-and-precautions.pdf
権威性のある参考情報として、MRI安全性に関する専門的なQ&Aが確認できます。
MRI安全Web(MRI SAFETY FORUM):MRI撮影時のチタンの考え方 ─ 専門家によるトルク・発熱リスクの詳細解説
多くの歯科医院では、チタンプレートやインプラントを埋入した後のMRI対応フローが明文化されていません。 これが患者のトラブルや医療連携の遅延を生む隠れたリスクです。
関連)https://www.mtc-nihonbashi.jp/wp-content/uploads/2024/12/MRI-Acknowledgement-and-precautions.pdf
整備が必要な院内フローとして以下が挙げられます。
独自視点として重要なのは「海外渡航患者への対応」です。日本国内でMRI conditionalとして使用されているチタン製品でも、海外のMRI施設では認証情報が共有されていないことがほとんどです。 患者が海外でMRI検査を受けるケースも増えており、英語版の製品情報シートを用意する歯科医院は患者満足度・信頼性で大きく差がつく時代になっています。
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発熱リスクの観点から、チタンは電気抵抗が高いため渦電流が発生しにくく、これが発熱を抑える大きな理由です。 一方で、プレートのサイズが大きくなるほどループ状の渦電流経路ができやすくなるという物理的な側面もあり、特大サイズのチタンプレートについては施設側の技師に事前相談することが推奨されます。
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MRI安全管理の国際基準(ASTM F2503)では、医療機器をMR safe・MR conditional・MR unsafeの3カテゴリに分類しています。 日本でも同様の基準に準じた表示が求められており、「チタンだから安全」という経験則だけに頼るのではなく、認証カテゴリの確認という手順を組み込むことが、これからの歯科医療の標準となります。院内でこの3分類を全スタッフが把握しているかどうか、確認する価値があります。
関連)https://www.iryoukiki.jp/sindan/2000/
医療機器.jp:MRIの検査におけるチタンプレートの安全性について ─ 1.5テスラと3テスラの違いおよびチタンの使用可能条件の解説