FH平面を「なんとなく」使っているだけでは、補綴物の審美性が最大30%低下するリスクがあります。

FH平面とは、左右の眼窩下点(Orbitale:Or)と左右の耳点(Porion:Po)を結んで形成される仮想平面のことです。 別名「フランクフルト平面(Frankfort Horizontal Plane)」とも呼ばれ、歯科矯正学や補綴学において顎顔面の形態を評価する際の基準平面として広く用いられています。
関連)https://www.quint-j.co.jp/dictionaries/terminology_basic/33981
つまり「頭蓋の水平基準」です。
人が直立姿勢をとったとき、FH平面はほぼ地面と水平になるという特徴があります。 この性質により、患者の自然な頭位を咬合器上で正確に再現しやすくなります。経年的な変化が少ない基準点で構成されているため、成長期の患者にも成人患者にも安定した基準として活用できます。
関連)https://www.quint-j.co.jp/dictionaries/keyword/38126
基準点をまとめると以下のとおりです。
臨床的には、これらの点の取り方(解剖学的か機械的か)によって微妙な差異が生じる点に注意が必要です。
関連)https://dental-basic.blogspot.com/2010/06/blog-post_2659.html
OralStudio歯科辞書:FH平面(フランクフルト平面)の概要と特徴
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セファロ分析(頭部X線規格側貌写真分析)においてFH平面は不可欠な基準平面です。ダウンズ法・ツイード法・コーベン法・ワイリー法など複数の主要分析法がFH平面を基準として採用しています。
関連)https://www.quint-j.co.jp/dictionaries/orthodontics/36487
これは重要な事実です。
FH平面を基準とした代表的な計測項目を以下の表に示します。
関連)https://www.yokohamakyousei.com/blog/importance-of-cephalometric-analysis-in-orthodontic-treatment
| 計測項目 | 定義 | 日本人平均値(目安) |
|---|---|---|
| FH to 咬合平面角 | FH平面と咬合平面のなす角 | 10〜12°(約12.68°) |
| U1 to FH | 上顎切歯歯軸とFH平面のなす角 | 約111° |
| FMIA(L1-FH) | 下顎切歯歯軸とFH平面のなす角 | 約55° |
| FMA(下顎下縁-FH) | 下顎下縁平面とFH平面のなす角 | 約25〜27° |
特にFMIA(下顎切歯FH傾斜角)は、下顎前歯の傾斜を評価する際にツイード分析で重視される指標です。 下顎前歯が前方に傾斜するほど値は小さくなります。
また、咬合平面傾斜角(FH to occlusal plane)の日本人平均は12.68°±4.04°であり、白人の9.3°±3.83°と比較して有意に大きいことが示されています。 これは人種差として臨床診断に反映する必要があります。
関連)https://www.quint-j.co.jp/dictionaries/orthodontics/36659
セファロ分析を用いた矯正治療では、治療前後でFH平面を基準に各計測値を比較することが治療効果の客観的評価につながります。
関連)https://kyousei.clinic/column/first-exam-ceph/
セファロ分析の重要性(横浜矯正歯科):U1 to FH・FMIAなどFH基準の計測項目の解説
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これは使えそうです。
FH平面基準でマウントされた咬合器上の模型は、生体の直立状態(自然頭位)とほぼ一致します。 この状態で診断・ワックスアップを行うことで、歯科技工士が患者の顔貌をイメージしながら作業しやすくなります。
関連)https://www.quint-j.co.jp/dictionaries/keyword/38126
特に審美性の高い補綴物を製作する際のメリットは大きいです。
フェイスボウトランスファーの手順を簡単に整理します。
1. イヤーピースを外耳孔に装着する(後方基準点の固定)
2. アンテリアリファレンスポインターで前方基準点(眼窩下点または鼻翼下縁)を設定する
3. 上顎バイトフォークを歯列に圧接して顎位を記録する
4. フェイスボウを外して咬合器に移送し、上顎模型をマウントする
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FH平面は安定した基準平面として高く評価されていますが、自然頭位(Natural Head Position:NHP)と必ずしも一致しないケースがあるという点は、臨床では意外と見過ごされがちです。これは歯科医従事者にとって重要な落とし穴の一つです。
見落としがちなポイントです。
NHPとはリラックスして正面を向いたときの頭位であり、患者の実際の審美観・機能観に最も近い状態です。一方、FH平面は人類学的な計測基準として1884年にフランクフルト国際会議で採択された平面であり、個人によって実際の水平面との差異が生じます。
具体的にはどういうことでしょうか?
たとえば骨格的に下顎の発育が大きい(骨格性III級)患者では、FH平面がNHPに対して前傾しているケースがあります。この状態で安易にFH平面のみを信頼して治療計画を立てると、補綴物の審美ラインが患者の実際の印象と乖離することがあります。
以下の点に注意が必要です。
FH平面を基準として使うこと自体は正しいですが、あくまで「頭蓋骨の解剖学的基準」であり「患者の審美的視点」とは異なる座標系であることを念頭に置くことが大切です。
ORTC online:フェイスボウ×咬合器で始める咬合診断の入門解説(中心位・FH平面の臨床活用)
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FH平面の知識は矯正診断だけでなく、補綴物の咬合平面設定においても直結します。咬合平面をFH平面に対して適切な角度で設定することが、機能的・審美的補綴の基本条件です。
咬合平面が適切でないと起こる問題は大きいですね。
矯正治療において特に問題になるのは「ガミーフェイス(gummy face)」の発生リスクです。マルチブラケット装置で強い顎間Ⅱ級ゴムを使用すると、上顎前歯が圧下されないまま内傾し、咬合平面が時計回り(クロックワイズローテーション)に回転します。 その結果、FH平面に対する咬合平面の傾斜角が大きくなり、笑ったときに歯肉が過剰に露出してしまいます。
関連)https://www.quint-j.co.jp/dictionaries/orthodontics/36659
補綴臨床での咬合平面設定ポイントを以下に整理します。
関連)https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK03816/pageindices/index4.html
咬合平面の設定ミスは、審美不良だけでなく顎関節・筋肉への過負荷にもつながります。FH平面を軸として複数の基準平面を総合的に評価する視点が大切です。
バルクウィル角は見落としやすい指標です。
計測に不安がある場合、咬合解析ソフトウェア(例:CephaloMetrics AtoZ® など)を活用することで、FH平面基準の計測値を自動算出し、診断の再現性を高めることができます。 矯正・補綴の連携診療においては、共通のFH平面基準を使うことで情報の齟齬をなくし、より精密な治療計画立案につながります。
関連)https://we-sync.com/treatmentplan/
SC PARK DENTAL:理想的な咬合平面の設定方法(FH平面・カンペル平面・デジタル活用の実践解説)

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