堀部秀郎さんは1969年生まれのイラストレーター・キャラクターデザイナーとして、90年代から2000年代にかけて活躍された方です。デビューは同人誌からで、ファンタジー作品『エクリプス』がきっかけとなりました。
特筆すべきは、『PC Angel』という雑誌で12年以上にわたって表紙を担当し続けたことです。その繊細なタッチと独特の色使いは、多くのファンを魅了してきました。
『Yours』は2006年に発売された堀部秀郎さんの初めての画集です。この画集には、『臭作』シリーズのキャラクターデザインや、『PC Angel』の表紙イラストなど、代表作が多数収録されています。
特に注目すべきは未公開作品の数々で、作家性が遺憾なく発揮された作品群となっています。残念ながら、この画集の発売直後に堀部さんは36歳という若さで他界されましたが、その影響もあり、本作は増刷を重ねることになりました。
『COLORS』は2007年冬に発売された第2の画集です。本作には『Yours』に収録されなかった作品や、未発表作品が多数収録されています。
特筆すべきは、デジタル作品だけでなく、アナログ作品も収録されていることです。堀部さんの画風の変遷や技術の進化を見ることができる貴重な資料となっています。
両画集とも現在は絶版となっており、中古市場でも入手が困難になっています。特に『Yours』は堀部さんの遺作となった画集であることから、コレクターズアイテムとして高値で取引されることも。
ただし、2007年には『Yours』のDVDデジタル画集も発売されており、こちらは比較的入手しやすい状態が続いています。画集本体の入手が難しい場合は、このデジタル版を検討してみるのもよいでしょう。
堀部秀郎さんの画集制作には、多くの興味深いエピソードが残されています。特に『Yours』の制作過程では、当時の同僚やファンの証言によると、一枚のイラストに対して何度も描き直しを行うことがあったそうです。
完璧主義者として知られた堀部さんは、デジタル作画が主流になってからも、アナログでの下書きにこだわり続けました。その理由について、あるインタビューでは「手の温もりが伝わる作品を作りたい」と語っていたそうです。
画集に収録された作品の中には、制作当時のラフスケッチも含まれています。特に『COLORS』では、完成作品と併せてラフ画も掲載されており、作品の成り立ちを知ることができる貴重な資料となっています。
画集名 | 発売年 | 収録作品数 | 特徴 |
---|---|---|---|
Yours | 2006年 | 約100点 | 代表作中心の構成 |
COLORS | 2007年 | 約150点 | 未発表作品多数 |
また、画集制作にあたっては、当時の編集者が堀部さんの自宅に通い詰めて作品を選定したというエピソードも残されています。特に『COLORS』では、堀部さんの遺した膨大な作品群から、未発表作品を丹念に選び抜いたそうです。
堀部さんの作品の特徴として、以下のような要素が挙げられます:
これらの特徴は、両画集を通じて一貫して見られる要素となっています。特に『COLORS』では、デジタル作品とアナログ作品の両方で、これらの特徴がより顕著に表れています。
画集の制作過程で最も注目すべきは、堀部さんが各作品に込めた想いです。特に『Yours』には、各作品についての本人によるコメントが添えられており、制作当時の心境や苦労した点などが記されています。
例えば、『臭作』シリーズのキャラクターデザインについては、「キャラクターの個性を大切にしながら、統一感のある世界観を作り上げることに苦心した」というコメントが残されています。
また、『PC Angel』の表紙イラストについては、「毎月の締切に追われながらも、読者の期待に応えられるよう、常に新しい表現を模索していた」という興味深い証言も残されています。
これらの制作秘話は、堀部さんの作品への真摯な姿勢を物語るとともに、その作品の価値をより深く理解する手がかりとなっています。
画集の制作を通じて、堀部さんは自身の作品を体系的にまとめることで、新たな創作の可能性を模索していたとも言われています。残念ながら、その可能性は『COLORS』の発売をもって閉じられることとなりましたが、両画集は彼の創作活動の集大成として、今なお多くのファンに愛され続けています。