ランス10の物語は、LP7年9月に魔人ケイブリスの指揮下で魔軍がシャングリラから人類圏へ侵攻するところから始まります。この完全な奇襲により、人類は大きな打撃を受けることになります。そんな中、LP7年9月後半、ヘルマン共和国シベリア地方で行方不明になっていたランスが帰還し、世界総統に就任。ランス城に人類軍本部を設置し、分断されていた人類を統一して魔軍への反撃を開始します。
LP7年10月前半、ランスは最初の大きな作戦として、ランス城に迫った魔物将軍を撃破し、捕虜となっていたリーザス黒の軍参謀アールコート・マリウスの救出に成功します。この救出作戦は、わずか100あまりの手勢で3000体もの魔物兵を倒すという驚異的な戦果を上げ、人類側の反撃の嚆矢となりました。
アールコート・マリウスの救出は単なる人命救助以上の意味を持っていました。彼女はリーザス王国の優秀な軍事参謀であり、その戦略的思考は人類軍にとって貴重な戦力となったのです。救出後、彼女はランス城の参謀本部で重要な役割を担うことになります。
アールコート・マリウスの救出後、LP7年10月後半には参謀本部の立案により魔人討伐隊が発足します。ランスは人類総統と兼任して隊長に就任し、魔人サテラも人類軍に正式に加わりました。この魔人討伐隊の結成はアールコート・マリウスの戦略的思考が大きく貢献したと考えられています。
彼女の戦略は、魔軍の弱点を突くことに焦点を当てていました。魔軍は数では人類を圧倒していましたが、指揮系統に弱点がありました。魔物将軍や魔人といった指揮官を倒すことで、魔軍全体の戦力を大きく削ぐことができるという戦略です。
この戦略は見事に功を奏し、LP7年12月にはシャングリラの魔軍兵站と転移魔法陣を破壊、同地指揮官のケイブリス(分身体)の討伐に成功します。これにより魔軍の援軍が断たれ、人類側が優位に立つことができました。
アールコート・マリウスの戦略眼は、単に敵の弱点を突くだけでなく、限られた人類の戦力を最大限に活用する方法も考案しました。例えば、リーザス第三軍は無敵結界が精神には作用しない点に着目し、魔人ラ・ハウゼルを少数の部隊で足止めすることに成功しています。
ゲームシステムの観点から見ると、アールコート・マリウスはランス10の序盤で入手できる重要なキャラクターの一人です。プレイ記録によると、彼女は「断首作戦」と呼ばれるクエストのクリアボーナスとして仲間になります。
アールコート・マリウスはカードバトルにおいても優秀な性能を持っています。特に戦略系のスキルに長けており、部隊編成において重要な役割を果たします。プレイヤーの記録によれば、「ランス・全裸シィル・アールコート・ビビット」という編成で「ストーンガーディアン」という強敵に対して「楽勝」だったとの記述があります。
また、彼女はゲーム内の物語進行においても重要な役割を担っています。彼女の救出は第1ターンの主要クエストであり、その後の展開に大きく影響します。特に、魔人討伐隊の結成や作戦立案など、ゲームの中核となるシステムに関わっています。
さらに、彼女はランスの恋愛対象としても登場します。ゲーム内の記述によれば、「香姫、アールコート、アニスをやったランスの次の犠牲者は?」という表現があり、ランスとの関係性も物語の一部となっています。
アールコート・マリウスが魔軍に捕らえられた経緯については、詳細な記述は少ないものの、いくつかの推測が可能です。ある記述によれば、「アールコートが捕らえられて、ランス城の場所を吐いたのだろうか?」という疑問が投げかけられています。
この疑問は重要な点を示唆しています。アールコート・マリウスはリーザス王国の軍事参謀として、人類側の重要な軍事情報を多く知る立場にありました。彼女が捕らえられたことで、魔軍側に人類の防衛体制や戦略に関する情報が漏洩した可能性があります。
特に注目すべきは、LP7年10月前半にランス城に魔物将軍が迫っていたという事実です。これはアールコート・マリウスから得た情報を基に、魔軍が人類の中枢を直接攻撃しようとした可能性を示唆しています。
しかし、皮肉なことに、この攻撃がランスによるアールコート・マリウスの救出作戦の機会を生み出すことになりました。ランスは魔物将軍を撃破し、アールコートを救出することで、魔軍の作戦を挫折させただけでなく、人類側に貴重な戦力を取り戻すことに成功したのです。
公式の資料には詳しく記載されていませんが、アールコート・マリウスには興味深い未公開エピソードがあります。彼女の捕獲時の状況や、魔軍の捕虜としての体験などは、ゲーム本編では詳しく描かれていません。
一部のプレイヤーの間では、アールコート・マリウスが魔軍の捕虜となっている間、彼女は意図的に誤った情報を魔軍に与えていたという説があります。これは彼女の軍事参謀としての才能と忠誠心を示すエピソードとして語られることがあります。
また、第二次魔人戦争後の彼女の動向についても興味深い点があります。ランス10の物語はLP8年4月以降、ケイブリスの撃破と共に終結し、LP暦が終了してRA暦が始まります。この新時代において、アールコート・マリウスがどのような役割を担ったのかは明確には描かれていません。
しかし、彼女の軍事的才能と人類統一後の経験を考えると、新時代においても重要な役職に就いた可能性が高いでしょう。特に、魔物界との関係が変化する中で、彼女の戦略的思考は引き続き価値を持ったと考えられます。
また、ランスとの関係性がその後どうなったのかも興味深い点です。ランス10は「ランスシリーズ30年の集大成」と称されるゲームであり、多くのキャラクターの物語が一定の結末を迎えます。アールコート・マリウスとランスの関係も、何らかの形で決着がついたと考えられますが、それがどのようなものだったのかは、プレイヤーの解釈に委ねられている部分もあります。
ランス10が発売されたのは2018年2月23日で、すでに発売から数年が経過しています。この間、公式からは追加のエピソードや設定が発表されることもありましたが、アールコート・マリウスに関する大きな追加情報は限られています。しかし、彼女のキャラクターの深さと物語における重要性は、多くのファンの記憶に残っています。
アールコート・マリウスの救出は、単なるゲーム内のイベントを超えて、第二次魔人戦争における人類側の反撃の象徴となりました。彼女の戦略的才能と献身は、最終的な人類の勝利に大きく貢献したのです。ランス10という壮大な物語の中で、彼女は重要な脇役として、しかし決して忘れられない存在として描かれています。
彼女の物語は、危機に瀕した人類が一丸となって立ち上がり、不可能と思われた勝利を掴み取るという、ランス10全体のテーマを象徴するものとなっています。アールコート・マリウスという一人の軍事参謀の救出から始まった反撃は、最終的に人類史上初の魔軍に対する勝利という偉業へとつながったのです。